スタッフルーム実況中継17 - ランニングコスト1 - マンション営業マンのウソと本音

スタッフルーム実況中継

不動産 - Home > スタッフルーム実況中継 > 第17話

第17話 - ランニングコスト1

とある新築分譲マンションのモデルルームでの話である…。

モデルルームの奥に位置するスタッフルーム。ウソと説教と本音が飛び交う空間…
もちろん一般人は立ち入り「絶対」禁止。

「少々お待ち下さい。」
接客中、爽やかな笑顔の営業マンがお客様にそう一言告げ、ニコニコしながらスタッフルームへ入っていく…。

これは、あくまでも架空の業者の話であり、優良な業者も数多く存在する。「こんな業者がいたらイヤだな…」という妄想として見ていただきたい。

スタッフルーム

上司	：	「おう、どないや？」
営業マン	：	「ええ、物件価格は安いと言っています。」
上司	：	「ほう、ほんなら価格の問題はクリアやな。」
営業マン	：	「しかし、月の維持費がかかるのがもったいないと…。」
上司	：	「あん？維持費かかるのなんぞ当たり前やろが。何寝言ぬかしてんのや？そいつ。頭わいてんちゃうんか。」
営業マン	：	「ええ、しかし、戸建はかからないと…。」
上司	：	「そりゃ、戸建は月々でかからんけどな。だから何やねん？」
営業マン	：	「だから、戸建の方がコストかからないから、いいなと…。」
上司	：	「ほんなら戸建買えばええやろが。今すぐ契約すればええやろが。今すぐ戸建業者のところへ連れていってやれや。」
営業マン	：	「ええ、しかし、戸建は物件価格が高いと…。」
上司	：	「当たり前やろが！マンションの方が安くて便利なところに住めるのがメリットなんやろが。そいつ、理想を語ってるだけやろが。どうしたいねん？そいつ。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「お前は何て切り返したんや？」
営業マン	：	「ええ、確かにマンションは月の維持費がかかってしまいます。しかし、ウチは他のマンションに比べて、月の維持費は安く抑えてます、と…。」
上司	：	「アホかお前は？何で他のマンションと比較すんねん。そいつ、戸建と比較してるんやろが！ずれた説明してると、時間がかかって客の気持ちも冷めるし、ムダなアピールは客が心閉ざすだけやろが！このクズ野郎が。」
営業マン	：	「すいません。」
上司	：	「そいつ、戸建は費用がかからんからお得やって言いたいんやろ？お前、戸建にどれぐらい費用かかるか知らんのか？」
営業マン	：	「いえ、すいません。」
上司	：	「アホかお前は！何で知らんのや！それでも営業か？まず、マンションとのランニングコストの比較からや。マンションの月の維持管理費は、主にどんな費用や？」
営業マン	：	「管理費、修繕積立金、駐車場代です。」
上司	：	「それは、何に使う金や？」
営業マン	：	「管理費は、管理人の人件費、共用部分の保険、税金などです。」
上司	：	「んで？」
営業マン	：	「修繕積立金は、建物の共用部分の修繕費用です。駐車場代は、駐車場の費用です。」
上司	：	「まず、マンションは建物の修繕費を入居者全員で分け合うやろ？せやから、こんな大きい建物でも、月の修繕費が安くて住むんやろが。んで、あらかじめ月にしっかり払っていくから、急な出費にも備えることができるし、いきなり多額の出費がくるなんて可能性も低いんやろが。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「戸建の場合は、雨漏りがしたり、外壁が傷んだりした時に、出費がいきなり来るんや。つまり、月にしっかり積立をしてへんと、急な出費に対応ができんくなって、住み心地も悪くなるんや。大体、10年後くらいに悲鳴あげるヤツが多いんや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「だから、マンションのように、月にしっかり積立している方が安心やろが。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「でもな、それを言うと、今度は「いや、それぐらいの積立はしますよ。貯金しますからね。」とかぬかしてくるんや。ほんなら、マンションのランニングコストごときに文句言うなっちゅうねん。聞いててイライラするわい。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「戸建で10年後くらいにかかる費用は、大体200万円くらいや。屋根やら、外壁やらの塗装で100万、外部に面する部分の点検やら、部品交換やら、外部の工事のための足場に80万、白アリ駆除で20万ってとこか。あくまでも目安やけどな。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「つまり、それが10年後にドバっと来るんや。10年で200万って言ったら、月なんぼや？」
営業マン	：	「16,000円ぐらいです。」
上司	：	「んで、白アリ駆除は大体、5年おきぐらいや。んで、10年たつごとに、戸建の修繕費用もどんどん上がってくるんや。」
営業マン	：	「どれぐらいになるんですか？」
上司	：	「買って20年後に250万、30年後に500万ぐらいってとこか？戸建は木造が多いから、30年もたてばボロボロや。相当かかるぞ。マンションでも、30年後ぐらいに大規模修繕はするけどな。その大規模修繕の費用も、月の修繕積立金の中に入ってるんや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「戸建で10年後に200万、20年後に250万、30年後に500万かかるとして、それを月の費用に換算したら、どれぐらいや？」
営業マン	：	「26,000円ぐらいです。」
上司	：	「ウチのマンションの月の維持費は？」
営業マン	：	「管理費、修繕積立金、駐車場代で合計20,000円です。」
上司	：	「ウチの方が安くつくやろが。今言った費用は、外部の話や。つまり、マンションの修繕費と似たようなモンや。それに加えて、部屋の中の補修費もかかるけどな。それはどっちも一緒や。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「んで、管理費や。管理費は、セキュリティやら保険のための費用やろ？せやから、戸建よりもセキュリティの質はええわな。オートロックもついてるし、マンションによっては、特に防犯に力入れてるところもあるからな。バルコニーに続く掃きだし窓の部分に防犯センサーつけたりとかな。戸建は、基本的にそういうセキュリティつけたら、それでまた費用かかるやろが。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「んで、さらに、戸建は庭が広いやろ？雑草も生えまくりや。草むしりも面倒くさいし、庭師に頼んだら、またさらに費用もかかるやろ？つまり、マンションと同じ条件に揃えようと思ったら、さらにどんどん費用がかかるんや。モデルハウスやら、戸建の折込やらで示してある金額は、ほとんど最低条件での価格や。結局、まともに住める家にしようと思ったら、どんどん金がかかってくるんや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「まあ、マンションも長期修繕計画で書いてある通り、どんどん修繕積立金は上がっていくけどな。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「結局、目先の安さにとらわれて、戸建の方が金かからんとか寝言ぬかすアホが、10年後ぐらいにヒーヒー言い出すんや。後々後悔させんためにも、お前が今日ここでそいつをヒーヒー言わしてやれや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「駐車場代もな、管理費と修繕積立金に充てられるんや。だから、ムダな費用やないんや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「まあ、あくまでもこの費用は、引渡しまでに問題なく完売することを前提に予算組んでるからな。引渡し後に売れ残りがあったら、その空き部屋の費用を誰が負担するかも大事やけどな。客でそんなことまで突っ込んでくるヤツは少ないわ。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「大体、売主が負担するけどな。負担しない場合ももちろんあるからな。その場合は、管理・修繕積立金が不足してくるんや。だから、長期修繕計画の金額よりも、客の負担は増えるやろな。でも、それが問題として出てくる時には、俺らはオサラバしてるんや。言う必要なんぞ全くないからな。聞かんヤツが悪いんや。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「ここは、機械式駐車場やから、駐車場代も安くしてるやろ？不便やから、安くせんと売れんからな。でも、機械式駐車場はメンテナンスやらで費用めちゃかかるんや。だから、将来めちゃ上がるやろうけどな。それか、管理費・修繕積立金に上乗せや。結局、割高になるんや。そんなことも知らんと、「安いからいいね」とか言うヤツ、アホとしか思えんわ。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「とりあえず、今言ったことを説明してこいや。戸建も十分かかるんやってことをな。しかも不規則にな。貯金してへんかったら辛いぞ。ってな！」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「それで、「いや、それでも、マンションは月かかるのがもったいない。」って言うんやったら、別のポイントで攻めていけや。戸建にも、物件価格の問題があるんやから、どっちに転ぶか分からんからな。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「大体、月の維持費にギャーギャー言うヤツが、積立なんぞできるんかいな？先のことを何も考えへんボケにしか見えへんけどな。まあ、戸建業者がそんな維持費についてなんぞ、普通言わんしな。「マンションは月々かかるんでもったいないですよ。何で買ってまで家賃みたいなモノを払わないといけないんでしょうね？」とかいう甘いトークに乗せられて戸建買いおるんや。現実はそんなに甘くないっちゅうねん。ま、そんなアホが多いから、俺らも言いくるめることができるんやけどな。何も知らんってことは、ある意味、俺らにはありがたいことやけどな。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「俺らがこんだけ親切に戸建の費用について教えてやってんのに、アホどもは「いや、でも…戸建見に行ったときは、そんな費用がかかるとは聞いてへんし…、マンションはムダ金払うモンやって言われたしなあ…。」とか、心の中で思いおるんや。んで信用せえへんのや。客によっては、「はいはい。営業トーク言ってるわ。」なんて、クソみたいな考えしてるアホもおるからな。」
営業マン	：	「そうですね。」
上司	：	「そう考えたら、客のために…なんてことが、いかにアホらしいかって思うわ。ウソついたり、デメリットは隠して、言いくるめてる方が手っ取り早いからな。」
営業マン	：	「はい。」
上司	：	「まあ、俺らからしたら、申込さえとれればどんなアホでもええけどな。ほんなら行ってこいや。」
営業マン	：	「はい。では行ってきます！」
上司	：	「おう！またすぐ戻ってこいよ！」