スタッフルーム実況中継
とある新築分譲マンションのモデルルームでの話である…。
モデルルームの奥に位置するスタッフルーム。ウソと説教と本音が飛び交う空間…もちろん一般人は立ち入り「絶対」禁止。
「少々お待ち下さい。」
接客中、爽やかな笑顔の営業マンがお客様にそう一言告げ、ニコニコしながらスタッフルームへ入っていく…。
これは、あくまでも架空の業者の話であり、優良な業者も数多く存在する。「こんな業者がいたらイヤだな…」という妄想として見ていただきたい。
スタッフルーム |
上司 | : | 「おう、どないや?」 |
営業マン | : | 「ええ、前向きに検討したい、と言ってくれてます!」 |
上司 | : | 「んで?」 |
営業マン | : | 「えっ?」 |
上司 | : | 「前向きに検討するからどないやねん?欲しいんなら今買うやろが。いらんなら買わんやろが。どっちやねん!」 |
営業マン | : | 「ええ、欲しい、とは言ってますが…。」 |
上司 | : | 「ほんなら申込書持っていけや。」 |
営業マン | : | 「ええ、しかし、今家を持っていて、ローンが残っていると…。」 |
上司 | : | 「どれぐらい残ってるんや?」 |
営業マン | : | 「あと20年で、残債は2000万円です。」 |
上司 | : | 「んで?そいつ、査定してんのか?」 |
営業マン | : | 「はい、してます。」 |
上司 | : | 「売却相場は?」 |
営業マン | : | 「はい、査定してもらったら、1500万円と言われたと…。」 |
上司 | : | 「それは?たたき売りの相場か?気長に待って売る相場か?」 |
営業マン | : | 「いえ、それは…。」 |
上司 | : | 「アホかお前は?それが分からんかったら、話進まんやろが。自己資金は?」 |
営業マン | : | 「300万円です。」 |
上司 | : | 「何じゃそりゃ?売って借金消せんやないか。そんなヤツ客でも何でもない、ただのクズ野郎やないか!」 |
営業マン | : | 「はい…。」 |
上司 | : | 「親援助は?」 |
営業マン | : | 「いえ、ないです。」 |
上司 | : | 「ほんなら、どうやってここ買うつもりや、そいつ?」 |
営業マン | : | 「何か買う方法はないか?と言ってます。」 |
上司 | : | 「何じゃそりゃ?そんなんで何が「前向きに検討する」や。偉そうに。日本語知らんのか?そいつ。「自分は借金もよう消せんクズ野郎ですが、家買うために協力して下さい」やろが。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「自分で銀行行って話ししてこいや。面倒くさい。」 |
営業マン | : | 「ええ、しかし、「何とか頑張りますんで、少々お待ち下さい」、と伝えましたんで…。」 |
上司 | : | 「アホかお前は?客が前向きに検討するって言って、いい気になってんちゃうやろな?俺らにとっては、即決がベストなんや。問題なくな。そんな時間のかかりそうで、いけるかどうか分からんヤツに時間割いてられんやろが。」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「まあ、ええわ。仕方ない。ほんなら、買い替えやな。まずそいつが買うためには、オーバーローンや。そいつの年収は?」 |
営業マン | : | 「いえ、それは…。」 |
上司 | : | 「アホかお前は!それで、どうやって「何とか頑張る」つもりなんやお前は?前向きで、買う方法探してるんやろ?ほんなら、「情報が必要なんです」って言ったら、そいつの個人情報全て聞けるやろが。性癖まで聞くぐらいの勢いで突っ込まんかい!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「年収と、売却相場がすぐ売るための額か、今すぐ聞いてこんかい!」 |
営業マン | : | 「はい!」 |
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営業マン | : | 「年収が500万円で、売却相場は、たたき売りの相場ではないらしいです。」 |
上司 | : | 「他にローンはないやろな?」 |
営業マン | : | 「ええ、それは大丈夫です。」 |
上司 | : | 「ほんなら、たたき売ろうと思ったら、安く見積もって1000万円ぐらいやろな。たたき売って残債1000万残るな。年収500万やったら、借入限度が3700万ぐらいか。ほんなら、2700万の物件までなら銀行見てくれるな。」 |
営業マン | : | 「それが、3200万円の部屋希望してます。」 |
上司 | : | 「アホかそいつ?何夢語ってんねん。よっぽど甘い銀行探さなアカンやないか。自己資金放り込んでも3000万までや。しかも、自己資金300万のうち、200万は諸費用で消えるわ。せやから、2800万ぐらいまでやろ。部屋はそいつに妥協させるんがお前の仕事や。分かってるやろな?」 |
営業マン | : | 「ええ、それは客もムリかな、と言ってたので、妥協はさせます。」 |
上司 | : | 「ほんまにできるんやろな?そんな厳しいヤツに限って、どうせムリやろって思って、前向きに言ってくるんじゃ。それか、よそで相手にしてもらえんかったりとかな。それか、自分が買い替えできるんか、営業マンに試させるボケもおるからな。組めるなら組めるで難癖つけて手のひら返してきたりするんや。客なんぞ信用するなよ。」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「まあ、そんなヤツは、まず客と呼べるモンですらないからな。大体、そんな部屋で話つけても、まず事前すら通るか分からんぞ。しっかり妥協させろよ!」 |
営業マン | : | 「はい。で、2800万までの部屋に客が決めたら、もう問題ないんですね?」 |
上司 | : | 「あん?オーバーローンの条件、お前知らんのか?」 |
営業マン | : | 「えっ?まだ何かあるんですか?」 |
上司 | : | 「当たり前やろが。アホかお前は?それでええんやったら、誰も苦労せんわ!何ホっとしとんねん、このボケが。」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「オーバーローンは同時決済が条件や。例えば、今5月やろ?引渡しが10月や。そいつが売りに出して、明日にでも買い手が見つかったとするやろ?んで、今の家の売却を6月に済ませてしまうとしろや。今の家を担保にローン組んでるやろ?担保物件売ってもうたら、ここの決済までの4ヶ月間、銀行が無担保で1000万円融資してまうことになるやろが。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「それは許されへんのや。つまり、今の家の売却の決済と、ここを買うための決済を同時にして、その残債1000万円分を無担保になる期間を無くさなアカンのや。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「そやから、買い手を見つける時に、ウチの引渡しやらの手続きと日程を合わしてくれる、都合のええ客を見つけてこんとアカンのや。今から売りに出して、すぐ売れても、引渡しはまだまだ先になるやろ?普通、中古は、手続きすればすぐ住めるのがメリットの1つや。条件指定されてたら、買いたいヤツもそうはおらんやろが。だから、買い手に条件のますために、たたき売る金額で出さなアカンのや。「安いからお前も条件のめや」、てな。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「だから、オーバーローンは成功するんがなかなか難しいんや。そいつにとっても、たたき売る金額で出すと、損丸出しや。その金額では、そいつが納得せんかもしれんわ。せやから、まずそいつを納得させろ。気長に待つって言って、すぐに売れん額で出されたら、こっちが困るからな。」 |
営業マン | : | 「何で困るんですか?」 |
上司 | : | 「少しは考えろや、このアホが。脳ミソあんのか?今のそいつの家が売れんかったらどうするんや?ウチ買えんから解約やろが。お前が買い取るんか?」 |
営業マン | : | 「いえ、それは…、でも解約になったら、手付没収できるんじゃないですか?」 |
上司 | : | 「買い替えは、停止条件付き特約を付けるんや。だから、家が売れんかっても、白紙撤回できるんや。売主によっては、停止条件認めんところもあるけどな。ウチは販売状況厳しいから、ゴーサイン出すやろ。とりあえず1部屋埋めろってな。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「んで、停止条件付けたら、客も売却ギリギリまで粘るやろ?せやから、売却ムリやったら、ポッカリ部屋が空くのが引渡し前や。そんな状況で1部屋空いてみろ?お前の担当やから、お前が売主やらから何言われるか分からんぞ。もちろん、俺からもな!」 |
営業マン | : | 「は、はい。」 |
上司 | : | 「もうここは、引渡し前にキャンセル住戸として出す部屋は決まってんのや。多少売りにくい部屋でも、キャンセルやて言って価値付けて売りに出したら、飛びつくアホがおるからな。せやから、これ以上、余計な空きは出したらマズいんや。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「まあ、売りに出してみな分からんから何とも言えんけどな。売却先が決まるまで、引渡し前まで、その客の面倒見ないとアカンのや。もちろん、買える可能性もあるから、色んな手続きもしっかりやらなアカンしな。んで売れんかったら、その苦労がパーや。パーどころか、説教のオマケ付きや。だから、面倒くさいんやろが。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「しかも、停止条件の期限は3ヶ月や。その時点で、そのままOKやったらええけど、その時点で「やっぱりムリやし…」なんぞ言ってくるヤツもおるからな。全く、うっとうしい。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「とにかく、今言ったことを説明してこい。んで、部屋を確定させて、停止条件付きで契約とれ。んで、銀行の事前申込も複数の銀行分とっとけ。念のためにな。んで、今の家の査定表と、残債証明も持ってこさせろ。もちろん、身分証もな。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「まあ、とにかく契約とってからやな。もちろん、やっぱ辞めたなんぞ言わさんよう、しっかり、意思確認と物件のアピールはしとけよ!」 |
営業マン | : | 「分かりました。では、行ってきます!」 |
上司 | : | 「おう!ほんならまたすぐ戻ってこいよ!」 |
そして、スタッフルームから営業マンが出てくる…。
「欲しい」と言ってるにも関わらず、「アホ」だの「クズ」だの言われる…。
これは、あくまでも架空の話であり、本当にこんな状況なのかは、想像にお任せします。
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