スタッフルーム実況中継
とある新築分譲マンションのモデルルームでの話である…。
モデルルームの奥に位置するスタッフルーム。ウソと説教と本音が飛び交う空間…もちろん一般人は立ち入り「絶対」禁止。
客にとっては、待ち焦がれた引渡し…。営業マンにとっては…?
これは、あくまでも架空の業者の話であり、優良な業者も数多く存在する。「こんな業者がいたらイヤだな…」という妄想として見ていただきたい。
スタッフルーム |
上司 | : | 「ついに引渡しか…。客に伝えてる販売戸数と、ほんまの販売戸数の違い、ちゃんと把握してるやろな?」 |
営業マン | : | 「はい。それは大丈夫です。」 |
上司 | : | 「ネームプレートのダミーは、ちゃんと手はずは整ってるんか?」 |
営業マン | : | 「それが…、業者の手違いで、ダミーの数がかなり足らないです。」 |
上司 | : | 「アホかお前は!何で事前にちゃんと確認しとかんかったんや!今さら遅いやないか!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「どんだけ少ないんや?ちょっと見に行こか。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
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現地 |
上司 | : | 「お前、全然足らんやないか!こんなん、客突っ込んでくるやろが!ボケ!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「お前、ネームプレートの前にずっと立っとけ。ネームプレートが見えんようにしろ。」 |
営業マン | : | 「えっ?逆に不自然で、余計目立たないですか?」 |
上司 | : | 「ほんなら、ネームプレートに幕かぶせて、隠せ。まだ出来上がってないってことにしろ。」 |
営業マン | : | 「えっ?引渡しで出来上がってなかったら、逆に客、文句言ってこないですか?」 |
上司 | : | 「…。」 |
営業マン | : | 「…。」 |
上司 | : | 「ほんならどうしろっちゅうんじゃ!大体、お前がろくに契約もできてへんから、困ってるんやろが!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「ほんまに…。とにかく、客には、「最近、個人情報を出すのを嫌う方が多く、ネームプレートにも載せてません。」って言って逃げろ。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「それと、「また、ご家族用で購入された方が、ネームプレートに誰の名前を載せるか、まだ悩まれてまして、まだ載せてない方もいらっしゃいます。」とでも言っておけ。会社名義にするか悩んでる、でもええわ。んで、すぐに話題を変えろ。」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「んで、今日色んな業者来てるやろ?ちゃんと全員に、販売戸数のこと、言っておけよ。」 |
営業マン | : | 「はい、それは大丈夫です。」 |
上司 | : | 「あの新聞業者の会社に契約者おるから、特に気付けろよ。」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「あいつらが販売戸数バラしても、確実に文句は俺らのところに来るんや。だから、業者はあんまり注意せんからな。お前がしっかりと見張っとけよ!」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「ところで、今日全員に、ちゃんと時間伝えてあるやろな?」 |
営業マン | : | 「はい、それは大丈夫です。」 |
上司 | : | 「そうか、ほんならええけどな。一番ややこいヤツを早めに設定して、早くに帰らすようにしてるんや。そいつが引き渡し終わったら、できるだけ今日は早く帰らすように、工夫しろよ。世間話なんかに耳貸すなよ!」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「おっ、あの業者のねーちゃん、可愛いやないか。お前、声かけて来いや。」 |
営業マン | : | 「えっ?それは…、仕事中なんで…。」 |
上司 | : | 「アホか!ナンパも営業の一環やろが!そんなんでビビッてるから契約できんのや!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「おっ、そんなん言ってるうちに、もう客来たやないか。しっかりやれよ!」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
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上司 | : | 「あいつ、車どこ停めてんねん?あいつの駐車場、そこちゃうやろが。アホが。」 |
営業マン | : | 「そうですね。」 |
上司 | : | 「あっ、あいつ、今日嫁しか来てへんやないか。ちゃんと主人来るように言わんかったんか?」 |
営業マン | : | 「いえ…。」 |
上司 | : | 「アホかお前は!業者の説明受けられへんやろが!何のために週末に設定しとんのや!後でまた、何かゴチャゴチャ言ってくるやろが!面倒くさいやろが。それぐらい考えんかい!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「あいつ、「鍵受け取りました」っていう、鍵の受領書、書いてたか?」 |
営業マン | : | 「いえ、確認してません。」 |
上司 | : | 「アホか!確認せんか!あいつが、鍵なくして、「鍵もらってません」って言ったら、俺らが鍵紛失したことになってまうやろが!」 |
営業マン | : | 「すいません。」 |
上司 | : | 「客なんぞはな、自分の不注意を、すぐに営業のせいにしてくるんや!ほんま、勝手なヤツらやのぉ。」 |
営業マン | : | 「そうですね。」 |
上司 | : | 「んで、引渡し終わったら、もう俺らの担当から外れるんや。問題があったら、それぞれの業者に連絡させなアカンからな。まあ、販売に関わることやったら仕方ないけど、管理やら設備やらに関しては、業者に直接連絡するように言っとけよ!」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「引渡し済んでからも、訳の分からんこと言われたらかなわんからな。面倒なことは、できるだけ避けるんや。手違いは、全部業者のせいにするんや。」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「んで、さっきの販売戸数の話やけど、ダミーのネームプレートがついても、実際、入居の気配がなかったら、すぐバレるやろ?ちゃんとカーテンやら付けとくように手配しとけよ。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「んで、電気も付けたりしとけや。外から、付いてる電気の数で戸数探ってくるヤツもおるからな。」 |
営業マン | : | 「分かりました。」 |
上司 | : | 「後は…。引渡し終わったら引越しや。色んな業者が出入りするやろ?んで、オートロックも開けっ放しや。夜遅くまで、作業する場合もあるやろ?」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「だから、セキュリティが甘くなるからな。モデルルームの設備は高いんやから、しっかり鍵は閉めておけよ。別に客の持ち物が盗られても知ったこっちゃないけど、俺らの設備盗られたら、俺らが損害賠償せなアカンからな。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
上司 | : | 「おい!あの業者、引渡し客一覧表、テーブルの上に置きっぱなしやろが!」 |
営業マン | : | 「あっ!」 |
上司 | : | 「すぐに隠すように言ってこんか!」 |
営業マン | : | 「はい!」 |
上司 | : | 「全く…アホかあいつらは。」 |
営業マン | : | 「ええ…。」 |
上司 | : | 「これで、全員帰ったか?」 |
営業マン | : | 「はい、全員ですね。」 |
上司 | : | 「早く済んだな。もしかしたら、誰か用事があって帰ってくるかもしれんからな。その時に、さっさと片付けしてもうてたら、「あれっ?もう終わったんですか?契約者数のわりに、早いですね。」なんて言われるかもしれんからな。念のために、まだテーブルやら椅子やらはそのままにしておけ。」 |
営業マン | : | 「はい。」 |
そして、引渡しが終了した…。
営業マンは、現地では、常にニコニコ…。心の中は、ドキドキ…。
これは、あくまでも架空の話であり、本当にこんな状況なのかは、想像にお任せします。
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