接客を受ける時の注意点
営業マンの狙いは? |
まず、初めに。
営業マンは客の言うことなど何一つ信用しない。「客の為に…」などありえない。
一般の皆さんもその事にはうすうす気づいているだろうが、想像以上。営業マンは客を疑わなければいけない。信用していたら上司に怒られる。客の事を真剣に考えて、親切にアドバイスしていたら、まず売れない。どの物件にも、爆弾(痛いデメリット)はあるから。
「この営業マン、いい人だな」と思った時、それは営業マンの罠にはまっている時である。
基本的に、営業マンは客の個人情報を1つでも多く聞き出そうとする。
「お客様がマンション選びで失敗しない為に、お客様の事情を把握することで、より最適なご提案をすることができます。逆に、お客様のことを知らずに、間違ったご提案をしてしまうと、せっかくお越しいただいたお客様に失礼ですから。」
世間話をし、その中で営業マンの個人情報をさらけ出し、「自分が話しているからあんたも腹割って話してくれ」と言わんばかりに聞いてくる。
(ちなみにその時の営業マンの身の上話にはウソが多い。借金まみれの人間も多く、家は売ってるが自分は買えない人間も多い。また、人格に問題のある人間も多いため、独身もかなり多い。まず、「私も家買いました」とか、「結婚してまして、お客様が検討している今と同じような時期に買いました」とか言うヤツは怪しい。)
こちらがウソでも何でもいいからネタを用意し、相手に話しを合わせることで、偽りの親近感を覚えさせ、自分の思い通りに導こうとする。
(もちろん、全ての営業マンがそうではないです。真面目ないい人もいます。稀に。)
営業マンが特に聞きたいポイントとしては、
「今の家に対する不満(なぜ見に来たのか)」
「希望条件の優先順位」
が大事なところである。
「なぜ見に来たのか?」
客が何を言おうが、営業マンは自分及び上司が納得できる真意を見出すまで、ひたすら疑い、突っ込んでくる。
その理由は、色々ある。
- 「相手の不満をあおり、どんどん住み替えしたくなるように話を持っていく」
- 「客の重視する理想の物件のポイントが見えてくる(今の家に対する不満がそのまま、客の求める条件になる)」
- 「後で、予期せぬ断られ方をされるのを避けるため(なぜこの物件が気に入らなかったのか分からないのを避ける)」
- 「報告のため」
など。
つまり、理由を聞きださないと、話が先に進まない。メリットをアピールしようにも、これまた言い出したらキリがなく、1つ1つのメリットが薄くなり、話が長くなり、客の反応が「はいはい…」になる。
そして、接客の中盤になってくると、ある程度、営業マンの「作られた話」が増えてくるため、修正がきかなくなる。
簡単な例を挙げてみよう。
<20代の夫婦が小さい子を連れて車で来場>
営業マン | : | 「お住まいのご購入を考えますと、不安なお気持ちになられるでしょう?」 |
夫婦 | : | 「ええ、まあ…。」 |
営業マン | : | 「せっかく将来のために頑張って買ったにも関わらず、お隣さんが偏屈な老人で、イヤな事を言われたり…。そんな不安をお抱えの方が多いですからね。」 |
夫婦 | : | 「まあ、そうでしょうね。」 |
営業マン | : | 「ええ。ここは、お客様のようにお若い方の契約者が非常に多いですから、世代も近いのでお話しもしやすいですよ。特に、同じぐらいの年齢のお子様もいらっしゃるんで、学校も一緒に行けますし、子育てなんかも色々話し合い、協力しながらできますしね!」 |
夫婦 | : | 「へえ、私達ぐらいお若い方が多いんですか。20代なのに、珍しいマンションですね。」 |
営業マン | : | 「そうなんですよ!ウチぐらいじゃないですかね。まあ、デメリットも病院が比較的遠いぐらいで、お客様のようにお車を使われる方のために、駐車場代も非常にお安くしてますし。これはウチが特にこだわっているポイントなんですよ。」 |
夫婦 | : | 「いや、実は…。買って住むのは私達じゃなく、年老いた病弱の両親なんですよ。」 |
営業マン | : | 「…。」 |
まず、買わないだろう。来た目的、つまり誰用で見に来たのかを把握していないため、この客にとって「最悪な」物件になる。
もっと早くに把握しておけば、「安くて、親孝行のために、自分達で買ってあげることができる」だの、「老後を見越して買っている年配の方が多い」だの、違うトークが繰り広げられていただろう。
営業マンは上司に烈火のごとく怒られ、次からこんなミスをしないよう肝に銘じる。そして、今後同じような客に対しては、序盤では当たり障りのない話を挟みつつ、「20代なのに物件を見学されるなんて、素晴らしいことです」だの、おだてたあげくに、「早めに資産を築いておこうと将来のことをしっかり考えてらっしゃるんですか?」など、探りを入れつつ、「いや、実は両親が…」の真意を聞き出す。
<20代の夫婦が小さい子を連れて車で来場>
営業マン | : | 「私も昔20代の頃、物件を見学したことありますけど、遊び半分でしたよ。20代で、真剣にお部屋を見学しようと思われるなんてすごいですね。」 |
夫婦 | : | 「ええ、まあ…。」 |
営業マン | : | 「最近はお若くても、しっかり将来のことをお考えの方もいらっしゃいますよね。私は昔、そんなこと考えもしなかったですよ。だから私ダメなんですかね?」 |
夫婦 | : | 「いえいえ、とんでもない。」 |
営業マン | : | 「ええ、まあ、ご結婚にしましても、何にしましても、早めにこした事はないですよね。お客様がお越しになられたのは、将来のために資産を築き上げておこう、とのお考えからですか?」 |
夫婦 | : | 「いや、両親が今一戸建てで維持管理に苦労してて…。それで私達がちょっとマンションどうかなと思って見に来たんですよ。」 |
営業マン | : | 「そうなんですか。確かに維持管理は大変ですからね。そうおっしゃられるご年配の方も非常にこちらにお越しいただいてますよ。特に、ご年配の方が現金で十分買っていただけるように、価格もお手ごろに設定しております。お子様がお気軽にお越しいただけるよう、来場者用駐車場もしっかり確保しておりますし、ウチはご年配の方のご契約が他の物件よりも多いんですよ。ご両親様のご近所付き合いも、どの物件よりも安心していただけますよ。」 |
少なくとも、さきほどの例よりは、話しを進めやすくされている。
(実際には、老後の両親の為とは言っても、両親の死後、夫婦が住む可能性がある為、さらにもっと深く探りを入れてくるだろう。)
軽々しく、来た目的を言わない方がいいだろう。
世間話に付き合ってあげるのもいいが、いつのまにやら営業マンのペースにはまってしまうため、早めに「どんな方が買ってるんですか?」など、質問を切り出していくのもいいだろう。
「希望の優先条件」
このポイントとしては、まず、完璧な物件など存在しない。いい部屋は高く、安い物件は不便。学校がガラ悪い、遠い、公園が近くにない、狭い、高い、大型スーパーが近くにない、騒音がやかましい…。
言い出したらキリがない。したがって、何点か妥協してもらわないといけない。
しかし、「自分の優先するものが飛びぬけて優れている」物件は、その人にとって、当然、魅力的である。
「他に、デメリットはあるが、まあいいだろう。こんな優れている物件を買う機会は今後来ないかも…」と思う。
そのため、営業マンは客の希望の優先順位を知り、その条件を最大限にアピールし、「飛びぬけて優れている」物件にしようとする。
しかし、優先順位を客から教えてもらい、それをひたすらアピールすると、イヤらしくなる。そこで、さりげなく真意を探り、客が「自分の真意は知られていない」と思っている間に、客の優先条件を探り出し、アピールする。
つまり、
営業マン | : | 「お客様が重視するとおっしゃられてます〜が、ここの最大のウリです。」 |
営業マン | : | 「お客様が重視されるどうかは存じ上げませんが、ここの物件の最大のウリは〜です。」 |
「知られてない」と思っている方が、営業トークだと思いにくく、納得してしまいがちである。
まあ、経緯がどうであれ、「自分のニーズ」と「物件のウリ」が合えば、別に問題はないのだが…。
そのニーズが「営業マンに過大に伝えられていないか」、「そのメリットによって、うまくデメリットを覆われていないか」ぐらいは当然注意したほうがいい。
とりあえず、営業マンにデメリットをしっかりと聞いておこう。
また、接客の序盤で、「自分の一番のニーズ」と「自分にとってのデメリット」を「逆」に伝えて(ウソをつく)、営業マンの様子を見てみるのもアリである。営業マンの性格がけっこう見える。
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